裁量労働制に慣れた社員は生産性が低い気がするのは気のせい?
私の勤めている会社は製造業なので工場がありますが、設計や現場作業者含め、工場勤務の方は勤務形態としてフレックスタイム制が導入されています。
一方、本社勤務の方は基本的に裁量労働制に従って勤務しています。
1年ほど前に転勤で工場勤務から本社勤務に変わりましたが、本社と工場ではまるっきり雰囲気が違うから驚きました。
本社と工場の両方の仕事ぶりを見て感じることはあきらかに本社の方が生産性が悪いことです。
でも、主な原因は裁量労働制にあるような気がしています。
今回は裁量労働制の弊害についてまとめてみます。
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裁量労働制とフレックスタイム制の違い
まずは裁量労働制とフレックスタイム制について、サクッと確認しておきます。どちらも最近の働き方のスタイルとしては定着してきつつありますが、すべての業種で取り入れられているわけではありませんので、要点まとめです。
裁量労働制
裁量労働制とは、労働に対する報酬=賃金を労働時間に対して支給するのではなく、業績や成果に対して支給するというものです。アルバイトなどの場合は時給○○円なんて決まっていますが、裁量労働制は労働時間は問いませんので、月給○○円でこれくらいの成果を出してくださいね、といった感じをイメージしてもらえるとわかりやすいです。
この労働時間は問わない、というのがミソです。
1日もしくは1ヶ月の間に働かなければならない時間が決まっていないということです。
つまり、裁量労働制を適用されている方は労働時間も出退勤時間も個人の裁量で決めることができるということです。
フレックスタイム制
フレックスタイム制は出退勤の時間を個人で自由に決めることができるのが特徴です。しかし、ほとんどの会社ではコアタイムと呼ばれる必ず会社にいなければならない時間が設定されています。
フレックスタイム制のコアタイムとは?
フレックス制で適用されるコアタイムとは、”10:00から15:00の間は会社に出て、労働することを義務付けられた時間”のこと
つまり、1日の出退勤の時間を早くしたり遅くしたりを個人の裁量で決定することができるのがフレックスタイム制です。
裁量労働制の方が生産性が低いと感じる理由
一般的な話ではなく、私の所属している会社ならでは、な特徴なのかもしれませんが、裁量労働制を敷いている本社勤務の社員の方のほうが業務のアウトプット、つまり生産性が低いように感じています。そう感じる理由はなぜなのか?
思いつく項目を挙げていきます。
みなし労働制だからいくら働いても給料に反映されない
まぁ、まず1番にくる理由としてはコレだと思います。裁量労働制では1週間もしくは1ヶ月の労働時間を○○時間働いたとみなして給料を支払っています。
たとえば、1ヶ月の労働時間を
1日 8時間 × 20日 + 20時間 = 180時間
とみなしたとすれば、20時間を残業時間として見込んだ給料が支払われます。
20時間はあらかじめみなされた時間となるため、20時間以上働こうが20時間以上の労働時間については残業代をもらうことができなくなっているケースがほとんどです。
あえてほとんどという言葉を選んだのには理由があります。
裁量労働制であらかじめ月の残業時間を想定してみなし労働時間として含んでいたとしても、みなし労働時間を超過した分には残業代を請求することができるからです。
詳しい説明は弁護士事務所のブログなどに譲るとしますが、毎月の労働時間が常にみなし労働時間を超えているような裁量労働制であれば、それは給料カットを目的とした裁量労働制にすぎないということは簡単に想像できるでしょう。
そのようなケースでは往々にしていくら残業したところで給料に反映されることはないというネガティブ思考が労働時間当たりのアウトプットに大きく影響してくるからです。
そもそも論ですが、工夫して働くことで仕事を済ませて早く帰ることができるような仕事内容でなければ裁量労働制は本来の効果は得られないでしょう。
時間給という認識がないため会議などの打ち合わせが長い

どんな仕事であれ、打ち合わせは必須です。
- 始業・終業時の業務連絡
- 客先打ち合わせの内容確認
少し内容は変わりますが、私がフレックスタイム制を適用されていた頃は定時時間後に仕事を続ける際は可能な限りダラダラせず、とにかく効率よく仕事をすることを心がけていました。
定時時間後の業務については残業代が支払われるから、効率よく仕事をすすめて、業務の密度を高めようとすることは企業人としては当たり前の考え方ですよね。
一部の同僚には、ダラダラと仕事を続けてあきらかに生活残業をしている人もいましたが、だいたいの同僚は能率よく仕事をすることを心がけていました。
一方、裁量労働制適用者は、根底にいくら残業しようと支払われる給料は毎回同じという思考回路が染みついています。
考え方によっては、いくら働いても給料は変わらないんだから、できる限り早く仕事を切り上げて帰れるように効率よく働こうという考え方にたどり着いて然るべきなのですが、
私が見ている限りでは、いくら働いても給料は変わらないんだし、自分のペースでのんびりと働こうと考える人の方が多いんですよね。
この考え方が定着してしまっているせいで、定時時間内の業務効率も格段に悪くなっています。
そもそも裁量労働制ということを考えれば、定時時間内という考え方もないはずなので、当然の結果なのかもしれませんね。
だから、会議をするにしても余計な修飾語や接続詞でまわりくどい説明や、全体で打ち合わせなくても個別に済ませればよいような内容まで会議の場で行ってしまうケースが多分に見られます。
会議は「起承転結」ではなくて「起結」くらいの話し方で進めて良いと思うんですよね。
でも、そんな考えは持たずに働いて年数を重ねてしまっている人ばかりなので、職制と呼ばれる方であってもまわりくどい話し方の人が多い。
同じようにメールだって、話し言葉で書いてしまうのが裁量労働制適用者の典型で、時間給適用者のメールは箇条書き、段落分けをしっかりと意識してわかりやすく、見やすく書かれています。
“時は金なり”という意識をもって働くべき

私は転勤にともなってフレックスタイム制から裁量労働制に移行しましたが、裁量労働制で働く同僚のアウトプットの低さ、ひとつの仕事にかけている時間の長さに驚きました。
フレックスタイム制だって、始業時刻に関しては緩い部分があります。
それでも定時という概念があり、残業すれば残業代が発生するということもあり、業務効率には重点を置いて働いています。
職制もできるだけ残業代が発生しないように、効率よく働くことを求めています。
しかし、裁量労働制になると職制でさえも効率を意識した働き方を求める動きが薄くなります。
本当に個人の裁量で仕事をすすめて、クリエイティブな働き方ができているのであれば裁量労働制がうまく機能しているのでしょうが、実際のところは残業代の足きりのために裁量労働制を活用しているというイメージが強い、というのが私の意見です。
裁量労働制であろうが、フレックスタイム制であろうが時は金なりという認識を持って働くべきなんですがね。
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